たくみの紹介

Vol.3

陶芸の家

伊草 幸夫

肩の力を抜いて陶芸とふれ合いを楽しむ場所。

手びねりの陶芸体験ができるほか、店主の伊草幸夫さん独自の焼き方でつくられた花器やカップなどさまざまな陶器が揃う「陶芸の家」。 伊草さんの明るく朗らかな人柄に触れながら、のんびりと器を楽しめます。

たくみの里がある群馬県利根郡生まれの伊草幸夫さん。幼い頃に東京へ移り住み、大学卒業まで過ごしました。大学では農獣医学を学び、都会の喧騒を離れて自分の牧場をはじめようと思い立って、再び群馬へ戻ったのだそう。ところが20代半ばに、備前焼に出会ったことで一転、陶芸の道を志します。
「もともと自給自足の生活に憧れて東京から戻ったのですが、自分の力だけで生活するのはなかなか難しい。どこかで人の力を借りなければいけません。そんな気持ちを抱えていた時に備前焼に出会いました。土づくりから、製品にするすべての過程、販売までを自分一人でできる。まるで自給自足のような仕事ぶりに魅せられて陶芸をはじめました」
 自宅に陶芸窯をつくり、10年ほど作陶活動を続けたのちに「陶芸の家」をかまえたのは1987年。たくみの里の立ち上げと同時で、以来30年以上、「陶芸の家」のたくみとして活動されています。ほぼ独学で陶芸の道を切り開き、自身のスタイルを作り上げた伊草さん。お皿や花器など生活に寄り添った器は、しっとりと落ち着いた色合いです。「陶器は本来日常で使われるもの。美術的な器ではなく、普段の生活にそっとなじむような使い心地のよいものを目指しています」

ジャズやバイク、カメラなど趣味も豊富な伊草さん。陶芸の家ではゆったりとジャズが流れ、つい時間を忘れて陶芸体験に没頭してしまいます。お客さんも自分も楽しく過ごせることがいちばん、と伊草さん。
「バイクが趣味で日本中を旅しましたが、いちばん印象に残るのは人との触れ合い。陶芸の家でもまた来たいと思ってもらえるような楽しい場づくりを心がけています。陶芸と聞くとかしこまりがちですが、肩の力を抜いてゆっくりと過ごしていただきたいですね」
 伊草さんの明るい人柄に惹かれ、10年来のお客さんも少なくないそう。自然に囲まれた陶芸の家ならではの落ち着いた空間で、楽しく陶芸に触れてみてください。

今回紹介したたくみの家

陶芸の家