豊楽館から北に徒歩3分ほど。庄屋通り沿いの大きな鈴が目印の「鈴の家」。深代里子さんが営むこの家には、手作りの土鈴やこけしが並ぶほか、里子さんに教わりながら土鈴の絵つけ体験も可能です。
たくみの紹介
Vol.12
鈴の家
深代 里子
Vol.12
深代 里子
豊楽館から北に徒歩3分ほど。庄屋通り沿いの大きな鈴が目印の「鈴の家」。深代里子さんが営むこの家には、手作りの土鈴やこけしが並ぶほか、里子さんに教わりながら土鈴の絵つけ体験も可能です。
里子さんは生まれも育ちも和歌山県。1997年にたくみの里へ移り、「鈴の家」を開きました。「軌道に乗るまで15年はかかったね」と振り返る里子さん。今では老若男女問わず多くの人が訪れる「鈴の家」ですが、当初は苦労も多かったそう。
「地元でもない場所で、最初は右も左もわからずで大変でした。それでも諦めずに続けたおかげで、たくさんのお客さんに来てもらえるようになりました。大事だったのは、下手でもいいから自分に嘘をつかずに正直でいることかな。土鈴の絵つけ体験にしても同じこと。一度描いたら直しがきかない。失敗してもいいから、のびのびとつくってもらいたいんです」
体験で使う素焼きの土鈴は、里子さん自ら窯で焼いたもの。多い時には、月に数百個もの土鈴を焼き上げます。
土鈴と並んで置かれているのが、里子さんが自身の作家活動として制作している「さとここけし」です。県内外のコンクールや展示に入選したこのこけしは、群馬県の推奨品にも指定されています。ころんとした木の球に一筆書きで描いた笑顔は、見る角度によって少しずつ表情が変わって見える。「さとここけし」を求めてこの家を訪れる人も多いと里子さんは話します。
「自然体な笑顔を描けるようにと常に挑戦しているけれど、実際思い通りに描くのは難しい。それでもごまかさずに描けば、温もりと正直さがあると言ってもらえるんですよね。それが私の励みです」
「さとここけし」の筆入れは、全て一筆書きの一回勝負。手袋をして黙々と丁寧に筆を進めていきます。「作業をしている時間も好きだけれど、お客さんとふれ合うのはもっと楽しいのよ!」と終始生き生きと話す里子さん。体験を通じてさまざまな話でにぎわう。「鈴の家」は、たくさんの笑顔にあふれています。