たくみの紹介

Vol.1

和紙の家

小野 美佐代

日常づかいからアートまで。
和紙の知られざる魅力

「和紙の家」は、店主の小野美佐代さんとご主人の小野俊郎さんのご夫婦が営むたくみの家。子どもも大人も楽しめる体験教室や、愛らしい和紙製品を求めてたくさんの人々が訪れます。さらに、作家としても活動する美佐代さんの和紙作品の展示販売も行っています。

 和紙を使った造形作家として活動していた小野美佐代さんに、たくみの里で「家」を運営しないかと声がかかったのは2007年。それまであった「和紙の家」が休業することになり、同じく和紙の作り手を探していたのがきっかけでした。アトリエでの作家活動に専念していたため、慣れない販売の仕事に不安はありましたが、夫婦で相談を重ねて決意したといいます。こちらの和紙の家、元から和紙を扱う場所だったものの、設備はほとんどなかったそう。手漉き体験のための台や、商品を陳列する机や棚などは、ご主人の小野俊郎さんの手づくり。美佐代さんの作品の額も俊朗さんが制作されるそうです。

 作品制作に加えて、販売や体験教室の運営を行うことになった小野さん。当初は苦労も多かったそうですが、お客さんとのふれ合いに助けられてきたと話します。「みなさんとても真剣に和紙づくりの体験に取り組んでくださる。観光のついでに、遊び感覚でやられるのかなと当初は思っていたので予想外でした。私も創作中は没頭しますから気持ちはよくわかる。和紙に携わる者として、とてもうれしい姿を見せていただいています」
 国内外のギャラリーや美術館でも展示される小野さんの和紙作品。店内にも一部の作品が販売されていて、繭のようなかたちをした大きなオブジェや、幾重にも和紙を重ねた立体作品など、どれもモダンで芸術性溢れる和紙の世界が広がっています。
 「クラフトとアートが共存する店としてさらに挑戦しようと思っています。現在、手頃な値段の和紙製品は各地のものをセレクトしていますが、自分で制作したものをもっと増やしたいですね。うちわや熨斗袋、ランプシェードなど、新しい商品を予定しているので、どうぞご期待ください」
 ほかにも体験教室の種類が増えたりと、和紙の魅力をさらに幅広く発信していく予定だそう。懐かしくもあり、新しくもある。そんな和紙との出会いを楽しんでください。

今回紹介したたくみの家

和紙の家