たくみの紹介

Vol.7

おしばなの家

田村栄子

里の自然を閉じ込めた押し花を
見て触って楽しむ

「おしばなの家」を営む田村栄子さんが仕立てる押し花は、まるで水彩画のように鮮やかで生き生きとしたものばかり。色とりどりの押し花を散りばめた作品や小物ひとつひとつに、田村さんが植物に向ける優しい視線が生きています。

 物心がついた時から花が大好きだったという田村さん。学生の時に地元の群馬県を離れ、都会暮らしをしていた間もその気持ちは途切れませんでした。植物に触れたいという気持ちから生け花を習い始め、その後、群馬に帰郷してからも20年以上生け花の勉強に励みます。版画をされているご主人が押し花を使っていたことや、やはり花や植物に携われることがしたいという強い思いがきっかけで、「おしばなの家」を始めました。長年生け花を学んではいたものの、押し花は全く新しいチャレンジ。はじめは苦労もあったそうです。

「押し花を教えるには、実は資格が必要。資格を取らないと、押し花に必要な材料が揃えられないんです。『おしばなの家』をはじめる直前にそれを知り、1年間高崎の押し花教室に通いました。一度でも休むと資格が取れなかったので、おちおち風邪で寝込むこともできず(笑)。その時はじめて勉強した押し花でしたが、長年培った花の知識にも助けられて、『おしばなの家』をスタートすることができました」

 それから20年以上押し花を続けてきた田村さん。「おしばなの家」では、田村さんが丁寧に仕立てた色とりどりの押し花を使って、小物づくりを体験することができます。体験を通じて人それぞれの性格が見えてくるのが押し花の面白さだと、田村さんは話します。

「押し花体験に来られるお客さまは、年齢はもちろん、性格や好みもさまざまです。かたちや種類、色も違う花を並べているところを見ていると、その人がどんな性格なのか、がじんわりと伝わってきますね」

 押し花でできた風景画や、押し花細工など、田村さんの作品が壁一面に並べられて、見ているだけでも楽しい「おしばなの家」。
体験してみると、こんな花まで押し花になるんだ! と、新しい発見もあるはず。色鮮やかな里の自然を、季節を問わず楽しむことができる場所です。

今回紹介したたくみの家

おしばなの家