たくみの紹介

Vol.6

おめんの家

高橋はつ子

たくみの里の伝統と風土を教えてくれる場所。

たくみの里と“お面”には、実は深い縁があります。近隣の泰寧寺に、火防守護神である烏天狗がまつられていることから、たくみの里で毎年秋に開催される豊楽まつりでは、顔の長さ3.9m。クチバシの高さ2.1mの大烏天狗面を担いで、里じゅうを練り歩きます。数多くの面を代々作りつづけてきたのが、「おめんの家」。2代目店主の高橋さんから、たくみの里の伝統ともいえるお面の魅力とその歴史を知ることができます。

高橋はつ子さんの父で先代の河合洪太郎さんが立ち上げた「おめんの家」。はじまりは、からす天狗のお面を泰寧寺でお土産として販売していたことでした。天狗の他にもひょっとこやおかめなど、伝統的なお面をつくっていたため、農作業の合間に観光客におめん作りを教えるようになったといいます。今の「おめんの家」がスタートしたのは洪太郎さんが70歳の頃。築100年以上の養蚕小屋を改築して生まれ変わらせました。高橋さんもはじめは手伝い程度だったと言いますが、作り続けるうちに徐々にその楽しさに惹かれていったといいます。
「父がいない時に一人で店を任されることがあったんですが、なぜか私が店番をするとたくさん人が来たんです。『おめん作り、楽しかったです』と言葉をかけられるたびに、気づけば自分自身もちょっとずつ面作りにハマっていきました」

「おめんの家」で使われている面の形は全部でなんと35種類。その全てが先代の洪太郎さんが型から作ったオリジナルで、それを今も受け継いでいるといいます。
「父は天狗やきつねなど凹凸のある形のお面の絵つけが得意でしたが、私はもっと自由に描きたい。のっぺらぼうのようなデコボコのない形に思うがまま描くのがいいんです」
従来の面は大切にしつつ、新しい形にも積極的な高橋さん。たくみの里オリジナル商品である、鹿の鼻おめんの制作にも携わったりと、お面作りへの挑戦は尽きることはありません。また、養蚕工場として使われていた母屋を活かし、農家宿泊体験も行っていて、絵つけ体験はもちろん、季節の果物を収穫してジャムをつくる体験や、郷土料理体験も行っています。高橋さんの優しい心づかいに触れ、たくみの里の伝統や自然を余すことなく感じることができる場所です。

今回紹介したたくみの家

おめんの家