たくみの紹介

Vol.14

マッチ絵の家

竹田 耕太

温かな時間が過ぎる
たくみの里の憩いの場

地元の食材を使った食事や、丁寧に淹れたコーヒーが楽しめるカフェに、小さなマッチ箱に絵つけができる工房を併設した「マッチ絵の家」。店内には、店主の竹田耕太さんが日本各地で出会った手仕事ものや、海外の文具も並びます。

1996年に「マッチ絵の家」を始めたのは、竹田さんの父で画家の竹田竹太郎さん。当時は鎌倉に住んでいた耕太さんでしたが、「マッチ絵の家」のオープンをきっかけにたくみの里へと移住。工房やカフェの手伝いを努め、竹太郎さんが引退した後にお店を引き継ぎました。

「父は画家として活動しながらこの工房を営み、さらに喫茶店のマスターも務める仕事人。個性的な人柄で、あちこちの器や家具などを集めていました。私が『マッチ絵の家』を引き継いでがらりと改装したあとも、父が集めた品々の多くをインテリアとして残しています」

マッチ箱に絵付けをする「マッチ絵」は、竹太郎さんが考案したもの。店内には、竹太郎さんが描いたものをはじめ、さまざまマッチ絵が飾られています。

「子どもたちが一生懸命ペンを走らせている姿を見ると、こちらも楽しくなります。『どんな絵を描くんだろう』と想像力が湧き立ってワクワクするんですよね」

「マッチ絵の家」が建つ宿場通りは、たくみの里のメインストリート。里巡りの合間に、淹れたてのコーヒーで一息ついたり、竹田さんとのおしゃべりを楽しんだり……。遠方からのお客さんにも、地元の人にも愛される温かな空間は、竹田さんがこれまでに出会ったさまざまな場所やお店での体験が源になっているといいます。

「幼い頃、家のすぐ近くにあった商店で本を買うのがとても楽しみでした。片手にお小遣いを握りしめて、一人きりで好きな本を探す。子どもながらに非日常な時間を過ごさせてくれる贅沢な場所だったんです。大人になって鎌倉に住んでいた間も、同じようなゆったりとした時間が流れる貴重なバーがそばにありました。気取らず、ありのままの自分で過ごせる。そんなお店に憧れて『マッチ絵の家』を続けています」

絵やものをつくるのではなく、『マッチ絵の家』の世界観をつくること自体が自分にとっての表現だと話す竹田さん。夜は不定期で「居酒屋 マッチ絵の家」も開催。ゆったりとした時間が流れる、たくみの里の憩いの場です。

今回紹介したたくみの家

マッチ絵の家