たくみの紹介

Vol.15

森のおもちゃの家

本多結

カスタネットが教えてくれる
みなかみの豊かな自然

谷川岳をはじめとした雄大な山々を周囲に望み、多くの動植物が息づく群馬県みなかみ町。豊かな自然と人々の暮らしが密接に関わり合う町として、2017年にはユネスコエコパークに登録されました。「森のおもちゃの家」では、地元産の木材を使ったおもちゃやカスタネットに触れながら、みなかみ町の自然について学ぶことができます。

「森のおもちゃの家」があるのは豊楽館のすぐそば、宿場通りの角。木の優しい香りが包み込む店内には、木のおもちゃやカトラリーなど、地元でできた木工製品が並びます。「たくみの里の周りに広がる豊かな自然を知ってもらいたくてここを始めました」と話すのは店主の本多結さん。店内の壁には、たくみの里の奥に広がる「赤谷の森」や地域の自然について学べるパネルが設けられています。

「この家の前身は、『森の恵みと学びの家』。肩肘を張らず、もっと楽しくみなかみの自然に触れて欲しくて、2020年に『森のおもちゃの家』として再スタートしました。今ではゆっくりくつろげる場所として、子どもはもちろん、大人のお客さんにも親しんでいただいています」

「森のおもちゃの家」では、木を使ったさまざまなものづくり体験も行っています。なかでも人気なのが、オリジナルカスタネットづくり。サクラ、クリなど4種類の木材から好きなカスタネットを選んで、絵つけをすることができます。

「誰もが一度は触れたことのある赤と青色が対になったカスタネットは、実はみなかみにある木工工房で生まれたものなんですよ! 木工職人の冨澤健一さんが営む『カスタネット工房』が、全国のカスタネット製造を一手に担っています。よく目にするカスタネットは、青と赤色に塗装したものですが、『森のおもちゃ』で使うのはまっさらな無垢材。木が違えば、音も違う。それぞれの木の特徴を肌で感じてもらえるはずです」

カスタネットに使う木材は「赤谷の森」で採れたもの。スギやヒノキなどの人工林から、本来の森へと再生する過程でできた間伐材を使用しています。森が良くなることで、木のおもちゃやカスタネットができる。「カスタネットづくりが、みなかみの自然環境を守ることにもつながっているんです」と本多さん。地域の自然を楽しく学べる「森のおもちゃの家」。訪れた後はぜひ山あいまで足を運んで、みなかみの美しい自然環境を体感してください。