たくみの紹介

Vol.16

木工の家

杉田 照明・ゆき子

活気あふれる工房で、
"本物"の木の手触りを知る

豊楽館から西に歩いて20分ほど、古民家が立ち並ぶ通りを抜けた一角にある「木工の家」。伝統工芸士・杉田照明さんと奥さんの杉田ゆき子さんが営む「木工の家」では、無垢の木を使った椅子や本棚などの木工品づくりを体験できます。

100年以上続く宮大工の3代目として、群馬県沼田市に生まれ育った照明さん。宮大工としてさまざまな寺社の建造に携わったのち、1999年に「木工の家」を引き継ぎました。「木工の家」で扱う木材は、全て照明さんが丸太の状態から仕立てた杉の無垢材です。丸太を乾燥させて板に製材するのには、時間も手間もかかりますが、「本物の木の質感を知ってもらいたい」という照明さんの強い思いから、無垢材にこだわり続けています。

「今はベニヤ板や合板製の家具が圧倒的になりつつあるし、無垢の木に触れる機会がだんだん減っていますよね。実際に無垢の木は高価だし、扱いも難しい。それでも木材本来の手触りは、無垢材でしか感じられないんですよ。だから、できる限り手軽に木の良さに触れてもらえるよう、自分で製材を行っているんです」

木材が準備できたら、次はゆき子さんの出番。「木工の家」を受け継ぐ以前は、小学校の先生だったというゆき子さん。「ケガがないよう、丁寧に教えるのはもちろんだけれど、のびのび楽しくつくってもらえるのが一番!」と、手際よく、明るい声で手順を教えてくれます。

「わたしたちの『木工の家』では、組み立てからくるみの油を使った塗装に至るまで、伝統的な木工細工が体験できます。主人が生まれ育った沼田市は木工が特に盛んで、住民の大半が木工業を営んでいるほどなんですよ。古くから受け継がれている木工技術に少しでも興味を持っていただけるよう、楽しく元気に伝えています!」

体験のほかにも照明さんが手がけた木工細工や、地元の工芸品が並ぶ「木工の家」。お二人がつくる和気あいあいとした雰囲気のなか、地域に根づいたものづくりに触れられる場所です。

今回紹介したたくみの家

木工の家